もっと★愛を欲しがる優しい獣
「……こんなハゲと一緒にしないでよ」
「……ハゲ?」
言っている意味が分からなくて首を傾げる。
テレビに映し出された鈴木氏の頭上にはふさふさとした黒髪が確かに存在している。
(どこがハゲなの?)
鈴木くんは私が尋ねようとしたことが分かったのか先に答えを告げた。
「あれ、カツラだから」
「え?」
鈴木くんは真顔でもう一度言った。
「カツラだから」
「えーーーー!?」
私は思わず鈴木くんを突き飛ばして、テレビに張り付いた。
鈴木氏の頭上をこれでもかというくらい見つめる。
……どこをどう見てもカツラには見えない。ソフトな仕上がりは地毛にしか見えない。
私は口を金魚のようにぱくぱくと開けて、鈴木くんと鈴木氏を交互に見た。
(どういうこと!?)