もっと★愛を欲しがる優しい獣
どうなのよ?と流し目を送れば、何かを企んでいるかのようにニヤリと渉が唇の端を上げて笑った。
「椿」
「きゃっ!!」
急にマットレスに押し倒されたかと思えば、耳元でそっと囁かれる。
「……好きだ」
誤魔化しもしない、ふざけてもいない、飾り気のないド直球ド真ん中のストレートを放り投げられてドキリとしたのもほんの一瞬の事。
……転んでもただで起き上がらないのが渉である。
「ツンツンしている時も、デレてる時も好きだ。あと、声が出そう我慢している時とか?背中を舐めるとピクッと反応する時も好きだな。それから……」
「っ……!!もういいっ……!!わかったから!!」
お願いだからひとの痴態を連呼しようとするのはやめて!!
一晩かけて暴かれた秘密は、あいつにとっては格好の冷やかしのネタになったようだ。
「分かってもらえたみたいで俺も嬉しいな~」
「もうやだあ……」
……なんでこんなふざけた男を好きになってしまったのだろう。
薄っすら気づいていたけど、私って実は男を見る眼がないの?
何とも言えない悔しさが滲んできて、私は顔を手のひらで覆ってため息をついてしまうのだった。