もっと★愛を欲しがる優しい獣
「あ、カツラ議員だ」
思い出したように呟いた風呂上がりの早苗が、アイスを咥えながらリビングへとやってくる。
「さ、早苗!!」
(何てことを!!)
……よりにもよって息子の鈴木くんの前で鈴木氏の陰口を言うなんて。
口を閉じなさいと念をこめて早苗を睨む。
早苗は姉の視線などものともせず、ケロリとして言う。
「なによ?事実でしょ?」
「良いよ、気を遣わなくても。世間にバラしたの、俺だから」
またしても新たな事実が発覚して、私は再びあわあわと口を動かした。
カツラってこと知らなかったの?と尋ねられて、うんと頷く。