もっと★愛を欲しがる優しい獣
「……俺は何をすればいいのかな?」
役割分担を発表した際に自分の名前が挙げられなかったことに、実は若干ショックを受けている。
去年はまだ知り合ったばかりだったから誕生日会のことは直前になって知らされて、ろくに準備も手伝えず、プレゼントだって安物のエプロンしか用意できなくて絶望に打ちひしがれた。
今年こそはと張り切っていたのに樹くんは俺の役割を一向に発表してくれなくて、ヤキモキしているうちに会議が終了となったのである。
「ほら!!一応、彼氏だし?手伝えることがあるなら、何でも言ってくれれば……」
「……鈴木は何もしなくていいから」
俺と樹くんの会話に割って入ってきたのは、通りすがりの櫂くんだ。
「え……?」
「だから、鈴木は準備なんて手伝う必要ないって言ってんの」
シャリシャリと小気味の良い音を立てながら棒アイスを食べる櫂くんの辛辣なセリフが容赦なく俺の心を抉る。
まさかの俺だけハブ……!?
「なんで!?」
俺が戦隊ヒーローオタクだから!?オタクの俺の手なんか借りたくないってこと!?
あえて大っぴらにしていた趣味だったけど、佐藤家のみんなにもとうとう愛想をつかされたってこと……?
膝を抱えてグスンといじける俺を見て、樹くんはげんなりしながら櫂くんを叱った。