もっと★愛を欲しがる優しい獣
「まだ沢山残っていたのに……」
一生懸命お祝いをしようとするその気持ちは嬉しいんだけどね?
(本人よりも張り切って準備しなくてもいいんじゃない?)
ケーキに刺すロウソクの数に、そろそろ限界を感じる今日この頃。
子供ならいざ知らず20回以上も誕生日をこなしてくると特別感は年々薄くなっていて、私の関心は目下自分の誕生日よりも洗濯物の方にある。
……まあ、そんな毎年の恒例行事である誕生日会にも、ちょっとした変化が訪れたらしい。
準備をしている間いつもはひとりで家から追い出されたわけだが、今年は鈴木くんとお出かけすることになったのだ。
(掃除でもしようかな……)
早苗の厚意で洗濯カゴは取り上げられてしまったので、今度こそ見つからないように掃除でもしようと考えていると、ピンポーンと玄関のインターホンが鳴る。