もっと★愛を欲しがる優しい獣

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「今日はゆっくり楽しんできてね」

「ありがと、早苗。行ってくるね」

見送りにやってきた早苗にお礼を言うと、私は待ち合わせ場所である駅前へと足早で向かった。

結婚式の時にしか履かないエナメルのピンヒールは、走るには不向きで早歩きくらいが限界だ。

結局、約束の時間に5分ほど遅れてしまい、改札の前で佇んでいる鈴木くんを見つけるなり謝罪する。

「遅れてごめんなさい!!」

「佐藤さん……?」

鈴木くんはいつもとは雰囲気の違う私を見て、口をポカーンと開けて呆けていた。

「あ、これ?早苗と友達のレミちゃんとユイカちゃんが髪型とか服とか色々といじってくれて……」

「すっごく似合ってる……!!」

「ありがとう」

思いのほか力強く褒めてもらえて、私も何だか照れてしまう。

……今日ぐらいはシンデレラ気分になってデートを楽しまなきゃ損だよね?

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