もっと★愛を欲しがる優しい獣

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アクアリウム展を思い切り満喫した後は、リーズナブルなホテルランチで空腹を満たす。

「ん~~!!美味しいっ!!」

ヘルシーかつ見た目も鮮やかなコース料理に舌鼓を打つ。

とろけそうなほど柔らかいお肉は特に絶品で、弟達に食べさせてあげられないのが残念だ。

「連れてきてくれてありがとう。鈴木くん」

子供連れで格式ばったレストランに来るのは難しくて足が遠のいていたから、久し振りに上げ膳据え膳の食事が味わえて嬉しい。

「夜はごちそうが待ってるみたいだからほどほどにね」

「そうよね。きっとたくさん作って待ってるだろうから頑張って食べなくちゃいけないもの」

例年と同じなら、今年も夕食には6人の力作が並ぶことだろう。

(今年は何かしら?)

去年はたこ焼きだったから今年はそれ以外ってことよね?

「この年になって誕生日を家族に祝ってもらうなんて本当はちょっと恥ずかしいんだけど、あの子たちが張り切ってるから何だかやめるにやめられなくなっちゃって……」

毎年、“もう今年はお祝いしなくていいよ”って言い損なって、辞め時がわからなくなり始めて実は困っている。

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