もっと★愛を欲しがる優しい獣

「はは!!そうだね。みんなすっごく気合が入ってた」

「もう!!笑い事じゃないんだからね?」

一生懸命準備しているのを見て見ぬふりをするのは逆に大変なんだから!!と力説して、食後に運ばれてきた紅茶を一口口に含む。

ティーカップをソーサーに置いてふうっと一息つくと、鈴木くんがジャケットの内ポケットから赤いリボンがかかった細長い箱を取り出しテーブルに置いた。

「佐藤さん、これ……誕生日プレゼント。家に帰ってからだと渡せるチャンスがあるか分からないから」

私ってばてっきり“デート=誕生日プレゼント”だとばかり……。

プレゼントをもらえるなんて思っていなかったから、それ自体がちょっとしたサプライズとなる。

「嬉しい……!!ありがとう!!」

弟を除いて男性から誕生日プレゼントをもらうなんて初めて。

鈴木くんがプレゼントしてくれたのはレース模様があしらわれたピンクゴールドの女性らしいフェミニンな腕時計だった。

ブレスレットを外してさっそく時計をつけてみると、鈴木くんは似合うとしきりに褒めてくれた。

これまで何度も誕生日を過ごしてきたたけれど、今年ほど嬉しくて仕方ない誕生日はないみたい。

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