もっと★愛を欲しがる優しい獣

「ちょっと髪型とか服装が違うけど、鈴木のお兄ちゃんでしょ?ねっ?」

「……違うもん」

いくら口で言っても一度抱いた警戒心はなかなか解いてはくれないみたいだ。

ひろむは抱き上げられていることに拒絶反応を示し、いやいやと嫌がるように身体をひねり始めた。

望み通り床に下ろしてもらうと、あっかんべーをして廊下の奥に消えていく。

「もしかして……き、嫌われた……?」

鈴木くんはあからさまに撥ねつけられたことがよほどショックだったのか胸を押さえている。

「知らない人だと思ってびっくりしただけよ。鈴木くんだって認識すれば元に戻るわよ」

「……とりあえず、コンタクト外してくるよ。洗面所借りるね」

百聞は一見如かず、言って聞かせるよりも見せた方が手っ取り早いと思ったのか、鈴木くんは洗面所に向かった。

(陽と恵にもあとで説明しなくちゃ……)

双子の方がひろむよりはまだ物分かりが良いので助かる。

(私も着替えてこようかな……)

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