もっと★愛を欲しがる優しい獣
「イチャイチャしてる~」
「そうだな。イチャイチャしてるな」
櫂とひろむが茶化しているのを感じ取ると、私は顔を真っ赤にして慌てて否定した。
「いっ!!イチャイチャなんてしてないわよ!!」
「そうだよ。イチャイチャっていうのはもっとこうするんだよ?」
「きゃっ!!」
地面から身体が浮き上がると、短く悲鳴を上げてしまう。
なんと、開き直り挑発に乗った鈴木くんは皆に見せつけるようにお姫様抱っこをしたのだ。
「やだもう……!!」
赤の他人に見られるよりも、家族の前の方が10倍は恥ずかしい。
ヒューと樹が口笛を吹き、早苗は腹を抱えて大笑いし、櫂は呆れ果て、陽と恵とひろむははしゃいでジャンプをして私達を囃し立てる。
……なんて幸せな光景なんだろう。