もっと★愛を欲しがる優しい獣
その2:陽だまり

(眠い……)

ソファに寝転がって本を読んでいると、突如激しい眠気に襲われた。

最近は残業が続いていたので疲れが溜まっていたのかもしれない。

それとも、話題になっていたからと内容も確認せずに買ってしまったこの本のせいなのか。

眠るまいと、欠伸を噛み殺す。

夕飯の片付けと、明日の朝食の支度をしている佐藤さんの包丁の音に耳を澄ませて眠気を誤魔化す。

自分の部屋ならともかく、ここは佐藤さんの家のリビングなわけで。

眠ってしまえば、無防備な寝顔を佐藤さんに見られてしまう。それは少しまずい。

(眠ったらだめだ……)

そう思う心とは裏腹に段々と瞼が下りてくる。

……俺はあっけなく眠りの世界に堕ちていった。

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