もっと★愛を欲しがる優しい獣
優しい気遣いが嬉しくて、寝たふりを忘れてニヤニヤと笑ってしまいそうになる。
もしも、彼女に愛されたらどんな心地がするだろうとずっと想像していた。
……まさかこんなにも温かく、気持ちの良いものだと思っていなかった。
(このままずっと寝たふりをしていようかな……)
けれどそう思っていられるのも、束の間だった。
佐藤さんは俺が起きているとも知らず、前髪を掻き上げたり、頬を突いたりするものだから、なんだかくすぐったいし、恥ずかしかった。
ちょっと脅かしてやろうと悪戯を仕掛けた張本人をソファに押し倒してやると、“お触り禁止令”を出される始末。
冗談交じりに“俺の家なら触り放題”と言ってしまえば、もはや手遅れとなった。