もっと★愛を欲しがる優しい獣

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佐藤家から徒歩7分。

ラーメン屋の赤いのれんをくぐると、何とも言えない香ばしい匂いがした。

「こちらにどうぞ」

店員にすすめられるがままに、俺と櫂くんは空いていたカウンター席に二人で並んだ。

「どれにする?」

メニュー表を見せて尋ねると、櫂くんはツンとそっぽを向いて答えた。

「どれでも良い」

……強引に連れ出されて、不満だったのかもしれない。

櫂くんの頬には絆創膏が貼ってあって、唇の端は切れて赤くなっていた。目の周りにはくっきりとあざが出来ていたし、相手の同級生と派手に殴り合ったに違いない。

「じゃあ、醤油ラーメン大盛り、野菜ましましを二つ」

注文を告げると、はいよーとカウンター越しに店長の威勢の良い声が店内に響いた。

「ここの醤油ラーメンはすごく美味いんだよ。櫂くんも食べてみてよ」

各座席の前に置いてある小型容器の中には店からのサービスである、もやしナムルが入っている。

早速、箸を割って櫂くんの分も小皿に取り分ける。

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