もっと★愛を欲しがる優しい獣
「櫂と何の話をしたの?」
ふたりきりになると、佐藤さんは不思議そうに尋ねた。
「うーん。秘密?」
淹れてもらったお茶を啜りながら言うと、佐藤さんの口がへの字に曲がった。
「なにそれ。男同士で分かり合っちゃって、いやな感じー!!」
「叩かないでよー」
圧し掛かられながらポカスカと叩かれると、次第にソファに身体が沈んでいく。
「あーあ。私もラーメン食べたかったー!!」
……今度は食べ物の恨みか。というか本命はこちらか。
「折角だから今度はみんなで行こうか」
「味にはうるさいわよ、私」
「大丈夫。櫂くんも認めた味ですから」
ふふっと互いに笑い合ったかと思うと、佐藤さんは急に俺の胸板にコツンとおでこを押し当てた。
「佐藤さん?」
「鈴木くんがいてくれて良かったな……。あの子、本当に何も言わないから……」
「俺なんてまだまだだよ」
櫂くんにはまだまだ敵わない。
佐藤さんの髪を指で梳かしながら、俺は最大のライバルに賛辞を贈るのだった。