もっと★愛を欲しがる優しい獣
その14:名前を呼んで

夕飯の片づけがひと段落すると、お茶を淹れて一息つくのが毎日の習慣になっている。

「はい、鈴木くんも。お茶どうぞ」

「ありがとう。佐藤さん」

一緒に片づけを手伝ってくれるのは、最近は鈴木くんであることが多い。

我が家で最後に食事をとるのはきまって仕事帰りに立ち寄る鈴木くんだから、自然とそういう役回りになるのだ。

私は二人分の湯呑をダイニングテーブルに置くと、つけっぱなしになっていたテレビに目をやった。

次から次へとチャンネルが変えられていくので、早苗がさも不愉快そうに眉をしかめている。

チャンネルの選択権はどうやらソファに寝転がっている樹が持っているようだ。

「ドラマが見たいんだけど……」

「はいはい。どうぞ」

私は樹から押し当てられたリモコンで、目当てのドラマにチャンネルを合わせた。

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