もっと★愛を欲しがる優しい獣

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「この間言っていたケーキ買ってきたよ」

「ありがと、貴士くん」

私はお礼を言いながら箱を受け取った。貴士くんは言わなくてもちゃんと人数分を買ってきてくれるから助かる。

ショートケーキ、チョコレートケーキ、チーズケーキ、モンブラン……。

王道かつ定番をキチンと選ぶあたり、さすがと言える。

「貴士くんはどれにする?」

佐藤家ではおやつは早い者勝ちという基本ルールがあるが、買ってきた本人は免除される。

きっと貴士くんはチョコレートケーキを選ぶに違いない。普段からゲームの合間に駄菓子屋で売っているチョコレート菓子を好んで食べているからだ。

そう予想して取り分ける準備をして待っているが、貴士くんからは返事がなかった。

「……どうかしたの?」

「うわ……。それダメだ」

貴士くんは手で口元を覆って表情を隠していた。耳まで真っ赤になっている。

……それが名前で呼んだせいだと気が付いた時には、私までつられて顔が赤く染まった。

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