もっと★愛を欲しがる優しい獣
その14.5:名前を呼んで~その後~
佐藤さんは俺が買ってきたケーキを美味しそうに頬張っていた。
心底幸せそうな笑顔を見られるなら、いくらでも買ってこようという気持ちになる。
本人は体型を気にしているようだが、太ってもらっても俺は全然構わない。
「あ、チョコレートケーキも一口もらっていい?」
「いいよ」
「ありがと。貴士くんもチーズケーキ食べる?」
一口もらったチーズケーキの美味しさよりも、貴士くん”という響きにジーンと感動してしまう。
いや、もう長かった!!
付き合い出す前から互いに“佐藤さん”“鈴木くん”と呼び合っていたがために、他人行儀な呼び方を継続していたわけだが、それも今日までだ。
「俺も“亜由”って呼んでいいかな?」
「いいよ。私だけ貴士くんって呼んでいたら不公平だもの」
許可が出たので早速呼んでみる。
「亜由」
そう言うと亜由の口から咥えていたフォークがポロリと落ちた。