もっと★愛を欲しがる優しい獣
「な……なんだか照れるね。鈴木くんのことをバカに出来ないかも……」
こんなことで照れちゃうなんて本当に可愛いいなあ……。
テーブルに頬杖をついて、ついニマニマと顔を眺めてしまう。
「今から家に来ない?」
「なんで?」
「……可愛すぎて我慢できないから」
うっかり己の願望を口に出すと、すぐさま新聞紙を丸めたものでスパーンと頭をはたかれた。
「な、なんてこと言うのよっ!!」
亜由は顔を真っ赤にして、わなわなと震えていた。
(あ、ヤバイ)
「……鈴木くんのバカ!!知らないんだから!!」
亜由はご近所中に響くような大声で叫ぶとリビングを飛び出して、2階への階段を駆け上がって行った。
(痛い……)
残された俺は、はたかれた頭をさするしかなかった。
こうして、名前で呼び合うという恋人らしい行為は、俺が下心を丸出しにした結果、1日で終わったのでした。