もっと★愛を欲しがる優しい獣
「よく出来ているのね……」
私はフィギュアをつまむと、蛍光灯の光で透かしてみせた。
「最近のは造形にも凝っているからね。ホントに集めがいがあるよ!!」
(た、楽しそう……)
鈴木くんは目をキラキラと輝かせながらあれこれ解説してくれたけれど、正直半分も言っている意味が分からない。
素材がどうとか、ポーズがどうとか。鈴木くんなりのこだわりポイントがあるらしいが、私が気になるのは一点だけだ。
「これ、一体いくらなの?」
「え?300円だよ」
(さ……300円!?)
私は紙袋の中の玉の個数を改めて確認してみた。ざっと数えてみても、100個以上はある。
ということは、つまり……。
単純計算で、\300×100個 = \30,000ということになる。
「し、信じられない!!」
「そうだよね!!このクオリティで300円は安いよねー」
でれっと満足げに、微笑む様子に更に戦慄する。
(違う違う!!)
怖い!!ガチャガチャに3万円も簡単につぎ込む鈴木くんの金銭感覚が怖い!!
よくよく考えてみると、確かにその片鱗はあった。
ひろむの誕生日プレゼントにお高めの玩具を買うし。大好きなゲームと戦隊ヒーロー物の限定DVDは速攻でネット予約するし。仕事で着ているスーツだって、名のあるブランド品だったりする。
……いよいよ、心配になってきた。
このままでは鈴木くんが破産してしまう!!