ダイスキなアイツ──後輩へ──
「 そうですか…。ありがとうございます。」
斜め15°くらいに頭を下げた彼女に、少しだけ戸惑いながらも俺は笑顔で振る舞った。
「 いいってことよー!」
…いや、いいってことよー!
じゃなくて!!
俺の脳裏一つの疑問が思い浮かんだ。
「 君は…なんて名前なんだ?」
俺は少し歩くペースを遅くした。
ずっと気になってたんだよな。
なんか、すげードキドキする。
告白してるみたいだ。
彼女は俺にゆっくりと自らの名前を言った。
「 秋坂莉子…です」
莉子…か。
おとなしそうで、小柄で、ザ・和風な彼女によく合う。
すげー可愛い名前。
ふと時計を見ると8時38分
式開始は45分。
時間が…!!
「 莉子。
早く行かないと、遅れるぞ!!」
俺は彼女の腕を引っ張り、
廊下を走った。