ダイスキなアイツ──後輩へ──
「 ハァハァハァ… 」
「 ゲホゲホ」




「ごめん…スピード出しすぎたな… 」



体育館がすぐそこに見えたところで、俺は彼女の手を離した。



「 いえ…大丈夫です…ゲホ」



何てことをしちまったんだ、俺は。



中二男子のスピードに無理に中一女子を付き合わせるなんて…



男として最低じゃないかーー!!





「 ごめん。莉子。大丈夫か? 」


彼女は大きく頷いた。



「なら、よかった。 」


俺がニッと笑うと、彼女は満面の笑みで答えた。



ん…、今、笑った!!



いや、人間だからもちろん笑うんだけどさ。
ただ、今までずっと笑わなかったから。


って、俺。
心の中で何言い訳してるんだ…。




……すげぇ可愛かった。




やべぇよ、心臓がドキドキしてる。



「 じゃあ、莉子、バイバイ。」



「あ、はい。
ありがとうございました。 」



俺は手を振ると、走って教室まで逃げるように走った。








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