彼=浮気【完】


子供がいるかわからないけど

もしもいるのなら、私は………

「………こーっ!!ニコーっ!!」

「静歩?」

すぐ近くから静歩の声が聞こえる。

「虹恋ちゃーんっ!!お願い、出てきて!」

チカさんの声もする!

私は急いで声のする方へ向かった。

「静歩!チカさん!」

「虹恋ちゃん!!」

「ニコっ…!!」

私の胸へ飛び込む静歩。

「もぉっ……心配したんだよっ!?ニコに何かあったらって…!!」

「ごめんね、静歩…。そういえば何でチカさんがここに?」

「ニコ、携帯忘れていったから勝手に借りて電話したの!」

「虹恋ちゃんが居なくなったって聞いたときは驚いたわよ?」

「あはは、すみません…」

「で?何でこんなことに?」

「それは……」

「………詳しいことは私の家でお話します。ここでは冷えますから」

そういって家へ向かった。

向かう途中、終始無言だった。

「どうぞ、コーヒーです」

「ありがとう。それで、何かあったの?」

「………これです」

そういってテーブルの上に妊娠検査薬を置く静歩。

「まさか…妊娠!?」

「いえ、まだ検査はしてません……。やる前に私が逃げ出してしまって………」

「そうだったの!?何で………」

「知りたく……なかったんです。いえ、カナちゃんを縛りたくないんです。別れたのに子供がいるなんて……」

「それでも!!狩那緋はあなたが好きよ!?」

「………それでも私はカナちゃんに話しません。もし妊娠していても」

「………なぜ、妊娠していると思うの?」

「一度だけ体を重ねたことがあるんです。でもカナちゃんはすごく酔っていて…。きっと覚えていません。あの時、避妊するのを忘れていて……」

「……虹恋ちゃん。狩那緋にはバラさないと約束するわ。だから検査して?」

「え………?」

「もしいたらどうするの?発見が遅れて赤ちゃんの命、なくしてしまうこともあるのよ?」

「それは嫌ですっ!!」

「なら、やりましょう。今は赤ちゃんが居るかどうかを調べるのが先。その後のことは今考えるべきじゃないわ」

「……そう…ですね」

「じゃあ、やり方はわかる?」

「あ、はい。説明書があるので…」

「じゃあ、やってらっしゃい。虹恋ちゃん。どんな結果であろうと自分を責めないでね?」

「……はい」


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