彼=浮気【完】
「さて、と。ニコ、準備できた?」
「うん、バッチリ!」
「保険証は?」
「お母さんに預けてるからついでに取るつもりだよ!」
「そっか。許してくれるといいね!」
「うん、そうだね!」
私たちは徒歩で家へと向かった。
歩いて少し時間はかかるけど
そこまで遠くはないし。
「とうとう………来たね」
「そうだね…」
すごく不安になってきた……。
ギュッ
「し、静歩…!」
「大丈夫、私がいるよ!ほら、行こ?」
そういってインターホンを鳴らした。
「はーい!」
元気なお母さんの声が聞こえる。
ガチャ
「あら、おかえり虹恋!静歩ちゃんも久しぶりねぇ!」
「お久しぶりです、おばさん!」
「ほら、どうぞ上がって上がって!」
私は数日ぶりの家に懐かしさを感じた。
何か安心するような雰囲気がある。
「さーてと!ここ数日、連絡もなしにどこに行ってたのかしら?静歩ちゃん家にいそうろうしてんだろうけど?」
「……図星です」
「…何かあったんでしょう?」
「え?」
「難しい顔してるわよ?」
「何で……わかるの?」
「そりゃ十数年も虹恋の母親ですもの!すーぐわかるわよ♪それで、何があったの?」
「………妊娠…した」
「……そっか」
「「…………え?」」
「え?」
「いや、もうちょっと怒るとか驚くとか…」
「だって、もう妊娠してもおかしくない歳よ?昔はそうじゃなくても今はそうだもの。私も学生の頃に虹恋を妊娠したもの」
「え、そうなの!?」
「ええ。まぁ、彼氏とは別れてて私が育ててきたけどね♪」
「………私も彼氏がいてね?それで……」
それから私はぽつりぽつりと話した。
今までのことも何もかも。