彼=浮気【完】
「そっか。虹恋……頑張ったわね」
そういって抱きしめてくれた。
「おか………さっ…!!お母さんっ……!!」
「これからまた大変よ。悩んだりしたら、赤ちゃんも悲しむんだから、自分の信じる道を歩みなさい!」
ニッと笑うお母さん。
この笑顔に何度助けられたんだろう。
「さーて、病院は?」
「今から行くつもり!」
「それで、これからどこで暮らすの?元カレくんには会いたくないでしょう?」
「ひと駅ぐらい離れたところにアパート借りたいけど…お金ないし…」
「ちょうどいい話があるの!ひと駅先にね?お母さんの妹がいるんだけど、家を出るらしいの。だから家を譲ってもらおうと思って!」
「まさか………」
「そこに住んじゃいなさい!生活費はちゃーんと用意してあるから!」
「い、いいの……?」
「もっちろん!それで、学校は?」
「あー……。もう、通わない。この子のことも考えなきゃだし!」
「そっか。静歩ちゃんもありがとね。この子に付き合ってくれて……」
「いえ!親友ですから!」
「じゃあ、私は病院行ってくるね!」
「ええ、行ってらっしゃい!」
私たちはそこらへんでタクシーをひろい、
病院へと向かった。
「ドキドキするね……」
「そうだね…。周りのお母さんに比べたら私まだまだ子供だしお腹出てないし…。変じゃないかな?」
「変じゃないよ!」
「そっかなぁ………」
「虹恋さーん!狐舞 虹恋さーん!」
「ほら、呼ばれたよ!行こう!」
「うん!」
私は静歩と一緒に診察室へと入った。
「狐舞 虹恋さんですか?」
「あ、はい!」
「検査薬で調べると、陽性反応が出たのね。そっか、たくさん悩んだんじゃない?」
「へ?」
「結構若いし、受け入れたくない面とかもあったと思うわ。私がそうだったもの」
「え、先生も子供が!?」
「いいえ。残念ながらお腹の中で息を引き取ったわ。けど、その時まだまだ若くてね。受け入れるのに時間がかかったわ」
「そうだったんですか…」
「じゃあ、まずは。エコー検査しよっか!赤ちゃんの様子も気になるし!この紙持って、2階の検査室ね!」
「はい!」