彼=浮気【完】
うわ、あの気持ち悪い顔!!
いや、整ってるけどさ?
大切な親友傷つけたんだもん。
こっちはいい気しない。
先輩なら先輩らしくしなっての。
あ、こっちに気づいた。
信号を渡ってこっちに来る狩那緋先輩。
「静歩ちゃんだよね!?にぃ、知らない?家に行っても友達の家っていって教えてくれないし…。何かあったら、って…」
「………心配なんですか?」
「当たり前でしょ!」
当たり前…ねぇ。
そんな奴が普通、浮気するかね。
「ご安心ください。私の家で元気に暮らしてますから」
「静歩ちゃんの家に!?会わせて!」
「嫌です」
私は真顔でキッパリといった。
「何で!?」
「じゃあ、逆に聞きます。ニコに会ってどうする気ですか?」
「どうするも…話がしたいんだ。もう一度、ちゃんと会って…」
「自分勝手な男」
「へ?」
「あんた、つくづく自分勝手ね。今までのこと振り返ってみなよ。ニコに対しての態度とか言葉、どうだったの?」
アスファルトを見つめ、黙る狩那緋先輩。
「付き合って、ニコを幸せにしてあげた記憶、ありますか?」
「でも…!!」
「でもじゃない!!どんな理由があってもね、浮気なんてしちゃいけなかった!!浮気はまだしも、あんなことっ……!!当の本人は綺麗さっぱり忘れてる!!」
無理矢理やったこと、
なんでコイツは忘れてて、ニコが苦しんでるの?
そんなの、絶対おかしい。
「忘れてるって?」
「……自分で思い出せば?何があっても絶対、ニコには会わせないから」
そういって家へ向かう。
イライラする。
ニコが苦しんでるのに何もできない。
どうすれば心から笑ってくれる…?
ニコ………。