彼=浮気【完】
虹恋side
私たちは久し振りに一緒にご飯を作った。
何年振りだろ?
「うん、おいしいわね!虹恋、料理うまくなったわね♪」
「お母さんが教えてくれたからだよ!」
「あら、嬉しいわねぇ!これなら、赤ちゃんが大きくなっても大丈夫ね!」
「……ねぇ、お母さん?」
「ん?なあにー?」
「この子…お父さんがいなくても大丈夫かなぁ……?寂しくならない?いじめられたりしないかな…」
「……じゃあ、虹恋に聞くわ。虹恋はお父さんがいなくて寂しい?」
「小さい頃は……確かに寂しかった。何で私だけいないの、って。けど、気づいたの。お父さんがいない分、お母さんが頑張ってる、って。だから、寂しくない!」
「そうね。もしかしたらその子も寂しい日が来るかもしれない。けど、寂しくないって思う日も必ず来るわ」
「……そうだね!」
「さ、ご飯冷めちゃうわよ!食べましょ!」
「うん!」
お母さん、やっぱりすごいや。
あったかくて大っきい。
お母さんの愛は人より何倍も大きくて、
私を優しく包んでくれる。
いつもありがとう、お母さん。
「ご飯食べたら、早めにお風呂入っちゃいなさい!もう虹恋の体は虹恋だけの体じゃないからね!」
ニコニコしていうお母さん。
よっぽど嬉しいんだろうな。
「うん、わかった!あのね、お母さん………いつもありがとう!!」
自然な笑みでそういうと、
お母さんは一瞬驚いた顔をして、笑顔になり、こういった。
「どういたしまして。虹恋、生まれてきてくれてありがとう」
私は少し恥ずかしくて急いで食器を片付け、
お風呂場へ向かった。
「ふう〜……あったかい…」
ため息混じりにいう。
今日は大変だったなぁ……。
お母さんに妊娠のこと話して
病院に行って妊娠が確定して。
ここにいる、なんて実感わかないもんなぁ。
優しくお腹に触れる。
「………頑張ろうね」
お腹の中の小さな命に小さく呟いた。