泣くな。って君が言うから
2人とは口も聞かないまま
私は2年生になった。

かーくんは卒業し高校へは行かず
たまにバイトをし相変わらず悪さばかり。

太一は3年生になり
いつの間にかチャラ男全開になっていた。
いつ見ても違う彼女を連れていた。

モヤモヤしながらも
自分から謝る事なんて出来ずにいた。

そんな頃、父が女と借金を作って蒸発した。
母と姉と兄は働きっぱなしで家で1人で過ごす時間が嫌で
夏休み、始まったばかりの頃。
私は夜遊びばかりし家にも帰らずにいた。
いつものように溜まり場に向かう途中
男が声をかけてきた。

見たことある顔。
学校は違うけど、かーくんの友達だ。

「一也の妹ちゃんや」

「…妹じゃないです」

「どっか行くん?俺らと遊ぼうやー」

「友達と約束してるんで」

「ええやん、そんなんブチれって(笑)」

「嫌です」

「無理ー!強制ー!」

かーくんの友達やし、まぁ、いっか。
そんな軽い気持ちで友達も誘って遊ぶ事にした。


ブラブラした後
先輩達の溜まり場に行った。
ガレージを改造した所。
お酒を飲み始め友達と先輩はイチャイチャし始める。

まじか…そんなノリか…

「私、帰ります」

先輩の1人が止める。

「初めて見た日から可愛いと思っててん。
一也に紹介して言うたら本気で怒られたど(笑)」

「あ、どうも…です」

「でも今日は一也おらんから怒られへんよな」

そう言うとキスされた。

気持ち悪い。

押し倒されてキスの嵐。

アカン、力強い。やられる。
こんな初体験…嫌や!
必死で抵抗するけど
先輩は友達に押さえろって叫んでる。

何人かに手足を押さえられて
もう無理と諦めた。

私の初体験。

父の事があり自暴自棄になり
ノコノコついてった
自業自得。

レイプというより
好きな気持ちが勝ってしまったって感じ。
間違えてるけど。

他の人が俺もやらしてーな雰囲気に
先輩は止めてたし
何度も謝ってきた。
ほんまに好きやから付き合って。
そればかり言ってくる。

お腹痛い。

横になったまま何も答えずにいた。

涙が止まらなかった。

「ごめん…ごめんな…」

先輩も泣いてる。


何でお前が泣くねん?
謝るんならハナっからすんなよ。

違う。

ついて来た自分に腹が立つ。


ガレージのシャッターが開く音
聞き覚えのある声。

「先輩〜女連れ込まんといて下さいよ(笑)」

太一だ。
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