泣くな。って君が言うから
太一と目が合った。

乱れた服
流れる血
泣いてる私

太一の表情が変わるのが分かった。

「誰すか?」

タバコに火をつけ辺りを見渡す。

「え?」

「誰がこいつヤったんすか?」

と私を指差す。

「俺…です」

と手を挙げる先輩。

見た事ない太一の顔。
怖かった。すごく怖かった。

友達の制止も振り切って太一が暴れてる。

「やめて」

私の声は届かない。体が動かない。

ソファーの後ろに隠れて先輩が電話してる。

「太一が暴れて止められへん。助けて」

あぁ、かーくんにもバレるんや…
何となく電話の相手はかーくんだと思った。

私はお腹や体中の痛さを堪えて
太一の方へ向かい抱きついた。

「もういいから…帰りたい…」

「お前ら帰れ!全員消えろ!」

太一が叫ぶと一斉に出て行った。

太一は折れそうなほど抱きしめてくれた。
何も言わへんけど
泣いてたような気がする。

私は大声で泣いた。
小さい子みたいに泣いた。

「太一!!」

かーくんの声。
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