愛されたい、だけなのに~先生、どうしたらいい?~【2】
連れて行かれたのは、誰もいない教室。
「もう皆、帰ったよね?」
教室の扉から廊下をキョロキョロと見渡す、蘭。
「よし、誰もいない!」
そう言うと、教室の扉を閉めた。
その行動がよくわからなくて、首を傾げる。
「誰かに聞かれたらマズイでしょ?」
しーっと口に指をあて、蘭がニヤリと笑った。
あ…それでー…
「…ありがとう、蘭」
気を遣わせてしまった。
「ううん。マナのためだから」
「!」
そう笑顔で言う蘭の姿に、涙が溢れそうになる。
私もちゃんと伝えなきゃー…
「…今まで黙っててごめん。私、柳先生と一緒に暮らしてる」
「うん」
「蘭が柳先生のことを好きなのを知ってるのに、一緒に住んでることを言えなかった。蘭を裏切ってしまっている気持ちになって、蘭に嫌われたくなくて…本当に、本当に…ごめん」
頬に涙が零れ落ちる。
「マナ…私は、相談して欲しかった。マンションを出て行かないといけなくなったことや、圭吾と暮らすことになってしまったこと…」
蘭が真剣な目で話す。
「圭吾から少し事情は聞いてるけど、私はマナの口からちゃんと聞きたい。いつか話してくれる?」
「…うん」
「ありがと!あと、もう急にいなくならないでよ?ホントに、心配してたんだから」
バシっと勢いよく、背中を叩かれた。
「ごめ…」
「あんな顔初めて見たってぐらい、圭吾の顔が青ざめてた」
ドクン。
柳先生がー…
「もう心配かけちゃダメだよ」
今度は優しく背中をぽんぽんっとされた。
「…うん」
榊原にも、蘭にも心配や迷惑かけたけどー…やっぱ、柳先生にいちばん心配かけちゃったよね。
昨日は余裕なくて言えなかったから、今日帰ったらきちんと言おう。