電車のキミ
「っ赤石くん!!!!」
すると、
目を閉じていた彼が
ゆっくりと目を開けた。
「っ…」
開いた瞳に
初めて見つめられる。
「…あ、の……」
あたしがおどおどしていると
赤石くんはイヤホンをとって
ニッと笑った。
「お、落とし物!!」
その笑顔にどきんと
胸を高鳴らせながら
あたしは定期を押し付けた。
けど、
その腕をつかまれて。
「っえ、」
「…ごめん、セコい真似して。
これわざと。
話すきっかけに、したかった」
そういった、彼の顔は
真っ赤に染まっていた。
電車のキミーENDー