散る頃に咲く花~藤堂平助~

「平助逃げろ。」

そんな俺の耳元で新八っつぁんが囁いた。

「逃げ道を作ってある。そこを一気に駆け抜けろ。」

逃げる?

俺が?

今の仲間を捨てて、逃げる?

「そんなこと、出来ねぇよ。」

俺はそう言うのが精一杯だった。

「副長命令なんだよ。お前を助けなかったら、俺達説教だぜ?」

新八っつぁんがにやりと笑う。
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