彼が涙を流した理由
全員がそろったところで、まず先生の自己紹介。
よかった、優しそうな先生ばっかり……
「では、次は委員の人から。1年生からどうぞ」
1年生はまだ小さくて、おもわず「可愛い…」と呟くと、千晶に笑われた。
ひどい……だって可愛いもんは可愛いじゃないか……
「じゃあ、次3年生ね」
え?いつの間に2年生終わってたの……。
どうしよう、名前全っ然覚えてないし……
よし、ちゃんと聞こう!
そう思って話している人の方を向くと、
「3年A組出口裕之です。よろしくお願いします」
その出口君は、3年生とは思えないほど小柄だった。
「3年間図書委員になれてとても嬉しいです。これからも努力していきますのでよろしくお願いします」
でも、キリッとした目。
黒縁のメガネ。
すっと通った鼻。
全てが、出口君が頭がいい、ということを表しているようだった。
これが、君との出会いでした。