彼が涙を流した理由





全員がそろったところで、まず先生の自己紹介。





よかった、優しそうな先生ばっかり……





「では、次は委員の人から。1年生からどうぞ」





1年生はまだ小さくて、おもわず「可愛い…」と呟くと、千晶に笑われた。





ひどい……だって可愛いもんは可愛いじゃないか……





「じゃあ、次3年生ね」





え?いつの間に2年生終わってたの……。





どうしよう、名前全っ然覚えてないし……





よし、ちゃんと聞こう!





そう思って話している人の方を向くと、





「3年A組出口裕之です。よろしくお願いします」





その出口君は、3年生とは思えないほど小柄だった。





「3年間図書委員になれてとても嬉しいです。これからも努力していきますのでよろしくお願いします」





でも、キリッとした目。





黒縁のメガネ。





すっと通った鼻。





全てが、出口君が頭がいい、ということを表しているようだった。







これが、君との出会いでした。








< 6 / 20 >

この作品をシェア

pagetop