MIRROR-ЯOЯЯIM
その日の放課後。

「理奈ちゃん。」
「ん? どうしたの、癒紀?」
「この前、駅前にカフェオープンしたじゃん。一緒に行かない?」
「そうなの? 行く行く~。」

そう言い終わったところで、私は気づいた。

「あ、でも…。」
「ん?」
「都樹もついてくるけど…いい?」
「え、押上くんも来るの…?」
「あ、もしかして嫌…?」
「ぜ、全然そんなことないよ。」
「じゃあ、俺も行くか。」

いつの間にか、私達の後ろに都樹がいた。

「うわっ! …ちょっと、びっくりさせないでよ…。」
「お前はビビりすぎなんだよ。」
「ふふっ…仲いいんだね、二人とも。」
「べっ、別にそういうわけじゃ…。」

私の言葉を遮ろうと、都樹が私の口に手を当てた。

「あ、コイツ…俺の、アレだから。」
「むご、むごご…。」
「アレって…?」
「続きはカフェで話すから。ほら、行くぞ。」
「むごご…ぷはぁっ…。」

都樹が口から手を離し、そのまま私の腕を引っ張った。

夕暮れの校門を抜けると、いつもと匂いが違う空気が鼻に入ってくる。さっき都樹に口を押さえられていたからだろうか? それとも別の理由なのか、はたまた気のせいなのか?

今の私には分からなかった。
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