MIRROR-ЯOЯЯIM
「え…。」

私がこのことを言ったのは、都樹だけだったはず。

「ちょっ…。」

それは都樹にしか言ってない、とは言えるはずがなかった。

「ち、違うって! ちゃんと耳付いてるし! だいたい、何の根拠があるの!?」
「人から聞いただけだって。理奈ちゃんの…彼氏にね。」
「…嘘…。」

耳を疑わないわけがなかった。

都樹の彼女役になる代わりに、私の秘密を守ってくれるんじゃなかったの…?

許せない、というより、絶望感の方が強かった。

…待って。私は、思考を足踏みさせた。

私は…都樹の彼女役に、なれていなかったんじゃないか? 都樹の理想になれていなかったんじゃないか?

もっと、都樹の理想でいたら。もっと、都樹の理想になっていたら。

「黙ってるってことは…図星かな?」
「…都樹はどこにいるの?」
「さあね。多分探してるんじゃないかな? でも、多分そう早くは見つけられないと思うよ。理奈ちゃんのケータイ、その辺に置いておいたから。GPSがついてるみたいだけど、裏目に出るかもね。」

癒紀が後ろを向く。

「さぁ、あとは好きにやっちゃって、皆。」

癒紀の指示で、ヤンキー達が次々に短刀を取り出し、ゆっくりと私の方に向かってくる。

私は、死を覚悟した。
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