MIRROR-ЯOЯЯIM
キラリと光る刃が、私の方に向けられる。それを離れた場所から見守る癒紀。

癒紀は恐らく、自分の手は汚したくないのだろう。

見え透いた考えが、憎かった。

私は、ずっと騙され続けていたんだ。

やっとできた、と思った友達にも、やっぱり裏切られた。

やっとだったのに…。

私はこの世界に来るまで、ひどいイジメに遭っていた。

「一緒にいるとろくなことがない」「ちょっと成績がいいからって偉そうにするな」など、さまざまなことを言われ続けた。

それでも、まだ友達と呼べる存在が見つかるかもしれない、と思い続け、今まで生きてきた。

なのに、こんなよく分からない状況で死を迎えるなんて…。

誰かが「人生はプラスとマイナスが同じになるようにできている」と言っていた。

嘘じゃん。

プラスなんて、全然なかった。

死んだら、神様に訴えてやろう。もっと公平な人生にしてくれたっていいじゃないか、と。

その時だった。

「やっぱり、私がやる。」

癒紀が言う。その一言で、群をなしていたヤンキー達が道を開けた。

その道を、癒紀はゆっくりと進んできた。
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