MIRROR-ЯOЯЯIM
「ふぅ…。」

道を何度も間違え、やっとのことで辿り着いた学校もやはり左右逆だった。看板などの文字も全て反転していて、読みづらい。

「何なの、ここは…。」

時計を見る。鏡映しになっている時計の文字を、見慣れた文字に直す。

「…ヤバい、遅刻だ…。」

帰って寝ようかと思っていたその時、後ろから誰かが走ってくる音がした。

「ん…?」

走って来たその人は…私と同じクラスの、久尾癒紀(ヒサオ・ユキ)にそっくりだった。

「癒紀?」

私の前を通り過ぎようとする時、私は名前を呼んだ。すると癒紀らしき人物は立ち止まり、私の方を見た。癒紀は普段は絶対に遅刻なんかしないのに、今日は何故…?

「あれ? どこかで会いましたっけ?」
「え? 私だって、現川理奈。」
「現川…あ、もしかして今日転校してくる子…?」
「え、転校?」

私は聞き返したのだが、癒紀らしき彼女には聞こえていないようだった。

「じゃあ、一緒に職員室に行こう。」
「う、うん…。」

私はイマイチ状況がつかめないままついて行った。

「そういえば、私の名前言ってなかったね。私は久尾癒紀。よろしく。」

名前は同じ。性格は反対。…何がどうなっているのか、さっぱりわからなかった。
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