MIRROR-ЯOЯЯIM
歩き出してから、やっぱりミハイルと一緒に帰っていたら良かったと思った。でも、もう遅い。

「ゴメン…。」

独り言は虚空に消え、誰の耳にも届かなかった。

家に帰り、部屋に入る。ドアの所に荷物を置き、ドアを封鎖する。そして、宿題を取り出し、ペンを持つ。

何故か、都樹と離れてからは成績が上がってきている。今までは、うつつを抜かしていたということか?

違う、と思いたかった。

本当は、都樹と一緒にいたいから。なのに、都樹といることのデメリットばかりが見えてきてしまう。

…あれ? いつの間にか、都樹と一緒にいたいと思い始めている…?

ちょっと前までは、そんなことなかった。それどころか、最初は都樹とのあの約束が、意味不明だった。

それが今となっては当たり前のことになり、そして…。

考えを巡らせているうちに、私はある一つの考えに至った。

私は…都樹のことが、好き。

設定上の話ではなく、私という一人の人間の、感情として。私の純粋な思いとして。

都樹に、恋していた。

…都樹に会いたい。会って、抱きしめたい。想いを伝えたい。

でも、もう引っ込みがつかなくなっていた。このまま私は、都樹と会うのを拒絶していないといけなかった…。
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