MIRROR-ЯOЯЯIM
帰り道。

「お前さ。」

私の方を見ずに都樹が言う。

「やっぱ…何かで悩んでんだろ?」
「…。」
「黙ってるってことは図星か。」
「…俺に言え、とか言うんでしょ?」
「もう分かってきたみたいだな。」
「でも、今回は絶対に言えない。自分のせいで、人に迷惑かけたくないから。」
「なるほどな…。ミシェルのことか?」
「えぇっ!?」
「瓦部から情報聞いた。魔法使いがいない日本じゃあまり知られてないけど、魔法使いはよく二重人格になるらしいな。」
「何だ、知ってたんだ…。」

安心したような、少しだけ怖いような。

「私…どうしたらいいのかな?」
「別にどうもしなくていいんじゃね? 俺ら部外者が関わってどうにかなる話でもないし。」
「部外者なんかじゃないよ!」

夜空に私の声が響いた。立ち止まって、私は叫んだ。

「秘密を知っちゃったんだから…部外者じゃないよ! もしミシェルちゃんが相談に乗りたいって言った時、相談に乗れるのは私達だけなんだよ!? だから見てるだけじゃダメなの!」

何かが私の頭に、今度は優しく乗せられる。都樹の手だ。

「理奈って、結構いい奴だな。」
「何よ、もう…。」

そうは言っても、やっぱり嬉しい。

「都樹。」
「ん?」
「帰ったら、ちょっとベランダまで来てくれる?」
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