MIRROR-ЯOЯЯIM
「ありがと。」

冷たいコップに口をつけ、お茶を喉に注いだ。喉の上から順に冷たいものが通って行く。

「ふぅ…。」

息を吐いた。そしてもう一度吸って、さっきと同じように吐いた。

「…あのさ。」
「ん?」

せっかく、ここまで設計図通りなんだ。いつ告白するのか? 今でしょ。

「…何で、私に彼女役やれって言ったの?」
「面倒だから。」
「えっと…どういうこと?」
「彼女がいないと、もし誰かが俺に告白してきたら断るの面倒だろ?」
「ちょっと待って。もしかして都樹、誰が告白してきても断るつもりだったの?」
「そうだけど? 別に誰も好きじゃないし。」
「あ…。」

終わった。

都樹は、誰のことも好きじゃない。つまり…私のことも、好きじゃないんだ。

「そっか…。」

私は空を見上げ、静かに泣いた。

「おいおい、何泣いてんだ?」
「…別にっ。月がキレイだなって。」
「月?」

都樹が月を見上げた。その瞬間、都樹は立ち上がり、ベランダの柵に寄り掛かった。

「都樹、どうかしたの?」
「…逃げろ…。」
「え?」
「早く逃げろ!」
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