MIRROR-ЯOЯЯIM
だが、勝負は呆気なかった。

暴走した都樹の力はすさまじく、ミハイルを一瞬で倒したのだった。

ミハイルはお掃除ロボットから落下し、体を地面に強く打ちつけた。

「ミハイル!」

私は部屋着のまま外に出た。

「大丈夫!?」

私が駆け寄ると、ミハイルは地面に横になったまま答えた。

「本当、オオカミ男の暴走は怖いよね…ぐぶっ…!」
「ちょっ…喋らないでいいよ、もう。血を吐くくらいなら、もう何もしないで…。」
「そんなわけにはいかないから…。」

ミハイルが私のことを守ろうとしている理由は、もう想像がついていた。

だけど、もし守ったからって、ミハイルの恋がうまくいくわけじゃない…。

「…待ってて。」

とにかく、今は暴走している都樹を止めないと。

「都樹!」

私はお掃除ロボットの上にいる都樹に呼びかけた。

「ガルゥ…?」

都樹はお掃除ロボットから飛び降りると、私の方に向かってきた。

「都樹…もうやめて…。」

都樹は、まるで私の声が聞こえていないかのように私の方に歩みを進めてきた。
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