むかしむかしの恋心
6 サラの話
私は生まれたときから体が弱くて、よく病気になっていたの。
母はいつも看病してくれて
父もいつも心配してくれて…
あの頃は幸せだったわ。
でもある日…
9歳になった私は学校へ行けないかわりに、一人で冒険をしていたの。
…体力がなくてね、みんなと同じことができなくて
でも家では勉強してたのよ?
いつでも学校へ行けるように。
…話がそれてしまったわ。
冒険の話だったわね。
あてもなく歩いて、道なき道を進んで
そして知らない場所へ辿り着く。
そこには新しい発見がたくさんあった。
私ったら学校に行く体力はなかったのに、冒険へ行く元気はあったの。
おかしな話よね。
家にいては感じられない自然の雄大さ、
何かを語りかけてくる風の囁き、
命の尊さまでも感じられる冒険に
私は溺れていったの。