ストーンメルテッド ~すべての真実~
その時だった。

彼らは、ようやく、追いついたようだ。

二人の顔は、険しく成り変わっており、汗が滴っているのが、ここからでも良く分かる。

「反対、反対! ありえないっつーの」

カゲンは、気さくな口調で言う。

そのお陰で、この場の空気は一気に、それでも僅かだが、彼女には、軽くなった様な気がした。

「何もしてないじゃないか。彼女は、よく、頑張ってたよ! なのに……どうして!」

カゲンの声は、処刑場中に鳴り響く。

そう、ストーンが溶けた影響で力が弱まっていただけの事。別に、彼女に罪はない。

だが、

「よく聞くのだ。カゲンよ。神の世界のしきたり、規則。まさか、忘れた訳ではあるまい。ゼウスが作り上げたこの世界、この決まり事。逆らう事は、決して許されない。この者は、仕事を成し遂げられ無き神を罪とする値に、値している事には言うまでもない。……ただ、闇の精霊・封印の扉を開いた人物がいたと考えられる事も出来ない訳ではなかった。……だが、ゼウスからお告げを受けたのだ。この者を処刑するに値するとな」

……すまない。

とは、言えなかった。

ヴィーナスの表情は、不自然だった。歪んでいる。

ヴィーナス自身、心が裂けたかと思った。この様な感覚は、あの者を殺そうとした時の感覚とよく似ている。あの者は、本来、いい神だった。だからなのか? ジュノに対しても似たような感覚に襲われる。
< 11 / 28 >

この作品をシェア

pagetop