ストーンメルテッド ~すべての真実~
 瓶に入っていた液体は、独りでに瓶から逃げ出すと、ふんわりキラキラと、それは舞い、星の粒の様に煌めきを放っていた。

あまりの美しい輝きに、家来の二人は、思わず、目を奪われた。

星の輝きの様な、薬の粒は、微かに開かれた門の中へ、磁石の様に、すうっと吸い込まれて行った。

直後、辺りから、ざわめく物音が鼓膜を突き抜けるほど、よく聞こえた。

闇の精霊達は、こちらへ押し寄せて来る。しかし、表情は、朦朧としていた。薬の魔力で、彼らは操られているのである。

この薬を使いこなせる神は、彼女の他、いない。

ざわめく彼らの物音は、先程より増して、激しくなった。その数、百、二百と見る見る内に、溢れかえっていた。

彼らは、門へと、一目散にドタバタと羽をうるさく鳴らしながら、入り込んで行く……。

あまりの数の多さに、小太りの家来は、太陽の光を見ている様な感覚に襲われた。目がチカチカとし、彼は、きつく、目を細める。

しかし、ジュノはびくともしない。ただ、彼らが門の中へ一目散に入って行く衝撃、ウェーブのかかった黒髪が、波のように揺れ動いていた。

ザワザワと耳に届く物音が、たちまち止むと、彼女は、おもむろに片方の目を少し、開いた。

奇妙な程、ネジが大量に打ち込まれた門は、一つの音も立てず、静まり返っている。


 ……大丈夫。たった今、彼らは封印された。

もう、心配事はいらない。大丈夫……大丈夫。


そう、自分自身に言い聞かせると、彼女は、ぱっと目を開いた。
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