ストーンメルテッド ~すべての真実~
彼女は、ただ、目の前の門を重たく見詰める。

この時、手首がチクチクとした感覚が走った。見やれば、茨の手錠に再び、取り付けられていた。

「進め」

痩せた家来は、お固い口調で、言った。

もう、黙って従う他、ない。

ジュノは、操り人形の様に無心、無言、無表情に、足を進めだした。

目の先は、相変わらず綺麗な真緑色の草と土と小さく真っ白な花ばかり。

前に顔を上げる力すら、無かった。

ひたすら歩いて行くと、足元の景色は、触れればヒンヤリとしそうな頑丈なタイルの床に、変わっていた。

家来達が足を止め、彼女は足を止めた。

おもむろに、顔を上げ、虚ろな瞳を目の前に向けた。
< 9 / 28 >

この作品をシェア

pagetop