運命の人..
でももしかしたら・・・って、淡い期待が胸を占拠して、アタシは手鏡を覗いた。ふいに風が舞い込み、花びらがひらひら鏡の上に落ちる・・・。藍夜が高校に進学して、いつも3人だった登校が海翔とアタシの2人きりになった。そして、藍夜と海翔の距離は自然と離れていった。アタシにとっては、今までとは違う、幸せな春の訪れだったの。顔を上げると、遠くに海翔の姿が見えた。茶色い髪がサラサラと揺れ、それを少しウザそうに払っている。海翔は3年になってすぐに、髪を茶色に染めた。その髪色が似合っていて、アタシは余計に海翔を好きになった。