やっぱりあなたの事が好き
「私の事、“可愛い”なんて言ってくれるの、賢太くらいやで!」


照れ隠しのように、私は笑いながらそう言う。


「そんな事ないよ!美穂が気付いてへんかっただけで、高校ん時も美穂の事、“可愛い”とか“好き”って言ってた男子いたし!」

「えぇぇっ!!そんなん知らんし!!」


私と賢太のやり取りを見ていた莉子は、さらっとそんな事を言ったけど、私はかなりびっくりした。


「だって、美穂、全く気付いてへんかったもん」


そう言いながら、莉子はにこにこしている。


気付くもなにも、そんな人がいるなんて思った事もないし!


「なんで莉子、そんな事知ってんの?ってか、何で言ってくれへんかったん?」

「いやぁ、その男子から相談されてて……。っていうか、美穂、その時も好きな人いいひんかったし、そいつの事も何とも思ってへんかったから。それに私から言う事じゃないやろ?」


まぁ、そうなんやけど……

正直、誰かは気になる。


だけど、告白なんてされてたとしても

“私に告白?ありえへん”

そう思って信じなかっただろうし、例え、告白されたからって、その相手を好きになるってわけではない。


< 16 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop