やっぱりあなたの事が好き
「まっ、とにかく美穂は“自分は可愛くない”って思いすぎやで?」


莉子がにこっと笑って言うと


「ほら、美穂ちゃんは可愛いんやって。自信持ちーや」


賢太が頭を撫でながら、そして、私の顔を覗き込む。


すると


「大村が可愛い?ありえへんって!だってコイツ、中学ん時、みんなから“ブス、ブス”って言われててんで」


間宮は笑いながらそう言い、私を見る。


そんなんわかってる。

わかってるけど……

今、初めて言ってもらえた言葉に、すごく嬉しい気持ちになってたのに。

そんな事わざわざ言わんでいいやん。


“好きだった人”

それは、過去形の気持ち。

だけど、やっぱり間宮にそんな風に言われるのは、他の人から言われるよりも傷付く。

だからって、私が傷付いた顔をしたら、莉子や賢太に気を使わす。

それが嫌だった私は


「わかってるけど、いいやんかぁー!“可愛い”なんて言われた事ないんやから、喜ばさしてぇやー」


あははっと笑いながら、そう言った。


だけど、場が和むわけでもなく……

莉子は冷たい目で間宮を見ていた。

そして、私達の間に気まずい空気が流れる。


その空気を感じたのか


「俺、タバコ買ってくるわ」


間宮は席を立った。


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