やっぱりあなたの事が好き
そう、私はいわゆる“ブス”だ。

自分でもわかっているし、気にしても顔は生まれ持ったもの。

だから、仕方ないって思っている。


だけど、あからさまに嫌そうな顔をされると、さすがに傷付く。

だから、たいてい無視をするのだけど……


「なぁ、お姉さんって!無視しんといてぇやぁー」


今日の男はしつこいみたいで。

声を掛けてきた男は私の右肩をグイッと掴み、無理矢理振り向かせる。

また、いつものセリフを言われるのだろうと思っていると


「あれ?大村やんけ!久しぶりやなぁ」


えっ?


私が、その男の顔を見上げると


「あっ!間宮ぁ?久しぶりやん!」


中学の同級生で、1年の時に同じクラスだった

間宮 光司(まみや こうじ)

そして、私が中学の時に好きだった人……


私、大村 美穂(おおむら みほ)

高校を卒業した後、呉服屋さんの事務員として働いている。

社会人 2年目の20歳。


物心ついた頃から、自分の容姿には自覚があった。

小さい頃から、ちゃんと“私は可愛くない”ってわかっている。

昔は、自分の顔が嫌だったけど、それに対して不満を言った所で仕方がない。

それに、私を産み育ててくれた両親に失礼だ。

今は、少しでもマシに見えるように化粧をしたりしているけど、“ブス”には変わりない。


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