やっぱりあなたの事が好き
「えっ?あぁ……」


間宮は少し戸惑いながら


「俺……、ホンマは、大村の事……、好きやねん」


私をじっと見つめる。


えっ!?

どういう事?


間宮が“可愛い”って言ってくれた時以上に、私の頭は混乱していた。


「俺、ずっと、大村の事が好きやってん。だから……、クラスのヤツから“大村が俺の事を好き”って聞いた時、すごい嬉しかってん。でも、クラスのヤツらから、からかわれるんが嫌で、そん時は正直に自分の気持ち、言えへんかってん」


私はドキドキしながら、間宮の話を聞く。


「ごめんな?大村は俺の事、嫌いやのに、こんな事言うて……」


そう言った間宮の表情は寂し気だった。


えっ?ちょっと待って?

私が間宮を嫌い?

なんで?

なんで、そうなるん?


実際、間宮の事を嫌いだと思うようにしていたけど。

だけど、その事を間宮は知らない。

だって、中学を卒業して以来、今日まで間宮と会っていない。

この間あった成人式の時も、何人か中学の同級生と会ったけど、その時も間宮とは会っていない。

それに、“間宮の事が嫌い”だなんて、誰にも話していないのだから。



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