やっぱりあなたの事が好き
「大村が可愛い?ありえへんって!だってコイツ、中学ん時、みんなから“ブス、ブス”って言われててんで」


俺は笑いながら、また心にもない事を言った。


“可愛い”と言われ嬉しそうな大村がムカついたから。

単なる八つ当たりだ。

わかっているけど、俺は言ってしまったんだ。


だけど、俺は言ってから後悔した……


「わかってるけど、いいやんかぁー!“可愛い”なんて言われた事ないんやから、喜ばさしてぇやー」


大村は昔みたいに笑い飛ばしたけど……


俺は見逃さなかった。

俺が酷い事を言った瞬間。

一瞬やけど、暗い表情をした事を。

中学の時、いつも見ていたからわかる。

本当は傷付いているって……


こんな事言うたら大村を傷付ける。

そんなん、わかってたはずやのに。


俺、何言うてんのやろ……


そして、俺達の間に気まずい空気が流れていた。


「俺、タバコ買ってくるわ」


頭冷やそ……


そう思い俺は席を立った。


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